「専門医療機関連携薬局」とは
専門医療機関連携薬局は、がん等の専門的な薬学管理が必要な患者さんに対して、がん治療の専門医療機関や地域の他の薬局との密な連携を行いつつ、より高い専門性が求められる特殊な調剤に対応できる薬局です。
また、専門医療機関連携薬局は、他の薬局に対する抗がん剤等の医薬品の提供、がんの薬物治療に関する専門性の高い情報の発信、高度な薬学管理を行うために必要な研修等の実施を通じて、専門的な薬学管理が対応可能となるよう他の薬局の業務を支えるような取り組みも行います。
専門医療機関連携薬局の認定を受けるためには、以下の要件を満たし、都道府県知事の認定を受けることが必要です。
1.構造設備
パーティションや個室で仕切られたカウンターの設置、手すりの設置や車いす等でも利用しやすい構造など、患者さんのプライバシーとバリアフリーに配慮した構造設備が求められます。
2.他の医療提供施設との情報共有の体制
がん治療を行う専門医療機関との間で開催される会議への定期的な参加や、専門医療機関との連絡体制の整備とその実績など、がん治療を行う専門医療機関と治療方針等の共有を図れる体制が求められます。
また、患者さんが他の薬局を利用した際や在宅医療に移行する際に、対応する薬剤師に対しこれまでの服薬状況や医療機関が示した治療方針などの情報を提供できる体制の整備など、地域の薬局間での連携体制も求められます。
3.専門的な薬学的知見に基づく調剤および薬剤の販売業務体制
休日・夜間など開店時間外にもお薬の相談や調剤に対応する体制、医療用麻薬の調剤を行う体制や医療安全対策の実施など、患者さんにお薬を安心・安全に届けられるような体制が求められています。
また、がんに関する専門的な知識を有し、1年以上勤勤務している薬剤師の配置など、がんの薬物治療全般に関する十分な知識・経験のある薬剤師の配置が求められています。
更に、必要に応じて地域の他の薬局に対しがん治療に必要な医薬品を提供する体制や、地域の医療機関・薬局に対する抗がん剤などの医薬品の適正使用に関する情報提供や研修を実施する体制など、地域におけるがん治療に関する医薬品の供給・情報発信の拠点としての役割も求められています。
近年では、外来で抗がん剤治療を行う患者さんも増えており、薬剤師にも専門性の高い服薬指導や薬学管理が求められています。
専門医療機関連携薬局は、これまで入院でしか対応できなかった患者さんを地域で支えていくために高度な薬局機能が必要となります。その機能を十分に発揮することに加えて、他の医療機関や薬局への情報発信等を通して、地域全体で専門的な薬物治療が可能になるようにサポートする役割も期待されています。
また、専門医療機関連携薬局は厚生労働省が定める傷病ごとに認定され、現在は「がん」が定められていますが、今後対象となる傷病が追加された場合は、その傷病に対応する基準が設けられる予定です。