ホウレンソウ

ホウレンソウ
名称 ホウレンソウ(法蓮草・鳳蓮草)
属科 あかざ科
学名 Spinacia oleracea L.
中国名 菠菜・菠薐草・赤根菜
英名 spinach
食性 甘・凉

「鉄分の補給やビタミンの供給源」

 どこの家庭の台所にも鎮座ましますホウレンソウは、鉄分の補給やビタミンの供給源として大事にされてきました。アメリカ・テキサス州には、銅像が立っているというポパイの活力の素として缶詰のホウレンソウは、子供の頃からすごいパワーに感心しながら親しんでいる野菜です。


来歴

 緑黄色野菜の典型として、普段利用するホウレンソウは、アフガニスタンからトルキスタンに渡るペルシャ原産の1〜2年生草本です。菠薐という中国語はペルシャのこと。シルクロードを経て、回教徒により中国にもたらされ、日本へは17世紀・元禄時代に葉に切れ込みのある剣葉の東洋種が渡来しました。井原西鶴の小説に登場します。オランダで品種改良された丸葉の西洋種は19世紀にアメリカに渡り、日本へは明治以降に導入されました。
 ホウレンソウは風媒花で雌雄異株、無花弁。東洋種の根は帯赤色を呈し甘味があるのが特徴です。写真をご覧下さい。雌花と雄花の違いが分かります。


成分特性と利用法

 東洋種のホウレンソウは、角種子で生育が早く、とうが立ちやすいため春蒔きはしません。秋から冬季栽培される品種です。冬越し品種はアクが少なく甘味もあり栄養価も優れています。西洋種は、主に丸種子で生育は遅く、とうが立ちにくいので、春蒔きで晩春から初夏に収穫します。ホウレンソウは、暑さ、湿気に弱く、pH5.5以下の酸性土壌には生育しません。
 最近は東洋種、西洋種の利点を取り入れて一代雑種が主流になり周年栽培されています。交配種の採種には、雌親株の品種の畝から雄花株をすべて抜き取る作業が必要で、アメリカでは、学生さんのちょっとしたアルバイトになっているそうです。日本の主産地は、北海道、群馬、埼玉、千葉、茨城ですが、都市の近郊で栽培される新鮮な葉野菜は、朝取り野菜として高く評価されます。
 成分特性はカロテン、ビタミンB1,B2,C,E,K,葉酸,カリウム,カルシウム,鉄,ヨード,ブドウ糖,ショ糖,クエン酸,リンゴ酸,葉緑素,スピナサポニン等と栄養価に優れ、他にシュウ酸、ポリフェノール類の存在は、エグ味の原因となります。普通食べる量では害はありませんが、シュウ酸はカルシウムと結合して、結石の原因になったり、カルシウムの吸収を妨げる性質があります。短時間たっぷりの沸騰水で茹でこぼし、冷水にとってさまして、 シュウ酸を除いてから調理します。茹でこぼしの操作はビタミンCが損失しますが、最近、生食用にアクの少ないサラダホウレンソウが店先に出回り、若い人に喜ばれています。茹でたホウレンソウの葉を細かく刻み、すり鉢ですりながら、水を加えてすり、裏ごしをして和え物に利用することを「青寄せ」といいます。グリーンスープにも使えて、和と洋の色彩も楽しめる食材になります。イタリアのフィレンツェ(フローレンス)のメディチ家からフランス王家に嫁いだ女性が、ホウレンソウが大好きで「フローレンス風」と名の付く料理には必ずホウレンソウが使われたというお話もあります。



参照:
「世界有用植物事典」「日本食品大事典」「食品成分表」
「中葯大辞典」「コツと科学の調理事典」「野菜図鑑 HP」
「原色牧野和漢薬大図鑑」


Copyrightc 2010. Miyagi Pref. Pharmaceutical Association. All Right Reserved.
宮城県薬剤師会に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。