サトイモ

サトイモ
名称 サトイモ(里芋・家芋)
属科 さといも科
学名 Colocasia esculenta(L.)Schott
中国名
生薬名 芋頭
英名 Taro、Elephant-Ear
食性 甘・辛、平

「日本食の食材として最も大切な存在」

 サトイモの花?って、どんな色?形は?と想像しても、つるつる肌の美味しい里芋が目に浮かぶだけで、なかなか思い当たりません。
 花期は日本では10月頃、希にしか咲かないという内巻きの細長い仏焔苞の淡黄色の珍しい花です。花を見ることができた方はラッキーですね。昨年秋、宮城県薬用植物園での研修会にみえた方が、メールに添付して写真を送って下さいました。美しい写真に感激しました。ミズバショウやカラーの花に似た、さといも科特有の肉穂花序の軸のある花形です。茎はほとんど伸びず、肥大した球茎が食用にされます。サトイモにはえぐ味があるため調理法に工夫が必要ですが、サトイモの収穫の季節到来を楽しみに待つ人が多いのは、古くから里芋、家芋と親しまれた所以かもしれません。サトイモの美味しさは日本食の食材として最も大切な存在ではないでしょうか。


来歴

 サトイモの原産地はインド東部からインドシナ半島で約110種類が分布する多年草ですが、日本では稲作渡来以前から栽培されていたといわれる1年生の作物です。里芋は山の芋に対して里で栽培されたため付いた名といわれます。原始マレー民族の移動により太平洋一帯、アフリカ、スペインにも広まり、中国では、紀元前(B.C.100〜200年)の『史記』に記録され、中国から伝来した日本では『万葉集』『倭名類聚抄』『延喜式』に記載されています。また『和名抄』には芋と書けば、いえついも(家芋)と読み、里芋をさし、『正倉院文書』に芋茎として、ずいきの名があるなど食材として根を下ろしていたようです。古くから慣わしになっていた食べ方が『本朝食鑑』に記載されています。関東以西では主食の一部とされ、お盆や十五夜などの行事や冠婚葬祭には欠かせぬ主要な食料でした。熱帯性植物だけあって、5℃以下の低温に弱く、生育適温は25〜30℃、北海道では収穫は困難で、東北でも経済的栽培はやや不利といわれ、関東は早生子芋が主で、東海以南でようやく晩生の親芋類の栽培ができます。親芋に子芋ができ、子芋に孫芋、孫芋に曾孫芋が付くのが特徴で、親芋(筍芋 (たけのこいも)=京芋、八頭(やつがしら))、親子芋(赤芽、セレベス大吉、海老芋)、子芋(土垂(どだれ)、石川早生(わせ))、葉柄・ずいき(蓮芋)、唐芋、えぐ芋、水芋、溝芋、田芋等々、栽培品種は多く、畑地、湿地、水田で栽培されています。因みに熱帯のタロイモは水田栽培です。


成分特性と利用法

 食品成分表には、種類による成分含量の差がありますが、100g中、水分は70〜84g、炭水化物13〜27.6g、カリウム640mg、カルシウム10〜39mgなど。芋類の中では低カロリーです。
炭水化物は大部分がでんぷんですが、ペントザン、ガラクタン、デキストリン、ショ糖を含み、他、蛋白質、ビタミン類を含みます。
 サトイモのぬめりは、多糖類のガラクタンと蛋白質が結合したもので芋全体を被い、煮汁の粘度を高め、泡立ちや噴きこぼれを起こしますし、調味料が浸透しにくいため、塩でもむか塩水で茹でこぼす前処理を行います。アクにはわずかにホモゲンチシン酸とシュウ酸カルシウムが含まれ、皮をむくときに皮膚に触れると刺激で痒くなることがあるかもしれません。緑色の葉柄にはシュウ酸カルシウムの結晶を含み、えぐみが強く食用にはならないのですが、赤紫色の葉柄は乾燥して、ずいきとして保存食にされます。精進料理にさっぱりした甘酢の煮物が出されます。
 サトイモを5℃以下に低温保存すると腐敗を起こしていることを経験されると思います。このことは日本植物病理学会で1989年に「サトイモ茎腐病」として原因菌の分離が行われた研究が報告されています。冷蔵庫には入れずに早めに調理しましょう。
 サトイモの料理は口当たりが柔らかく芋煮や煮転がし、酢みその田楽、けんちん汁、和菓子にも利用され、皮付きのまま蒸かす「きぬかつぎ」は素朴な味の逸品です。山形では河川敷に大勢人々が集い、日本一大きな鍋で牛肉を使用し醤油味の芋煮会が盛大に行われます。芋煮会は地域によって使用する肉類がちがい、醤油味、味噌味となり、材料にこだわった食習慣が生まれていることは大変興味深いことです。北東北の秋田では鶏肉、きりたんぽ、牛蒡、芹にこだわった「きりたんぽ鍋」「なべっこ」があり、岩手、宮城大崎地方、山形庄内地方では鶏肉、醤油味の「芋の子汁」や豚汁風、福島会津地方では「きのこ山」と呼ぶようです。三陸海岸では魚、醤油味の寄せ鍋風と多様化しています。芋煮会は、収穫の喜びを分かち合うと同時に、寒さの厳しい東北ではサトイモの保存が難しいことから、冬に入る前に野外で食べる芋煮会が盛んに行われるようになりました。青森であまり行われないのはサトイモの栽培ができなかったことによるようです。また、関東地方より南ではサトイモの保存は容易であったので、サトイモの芋煮会は必要がなく活発でないといわれます。
 サトイモの低カロリーの良さを活かす調理をして健康に過ごしましょう。



参照:
「世界有用植物事典」「食品成分表」
「原色牧野和漢薬草大図鑑」「化学大辞典」
「新編日本食品事典」「中葯大辞典」


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