レモン

レモン
名称 レモン
属科 ミカン属 みかん科
学名 Citrus limon(L.)Burm. f.

 レモンと聞いただけで酸っぱくなりますが、アラブ諸国には酸味のない品種もあり、酸味の強いものをレモンというそうです。朝の紅茶はミルクティも良いのですが、レモンティの酸味と芳香は、爽やかな目覚めに、1日の始まりに最適な飲み物ですね。日本の気候には栽培が難しいのか、生産量が少なく消費量の大部分が輸入品であり、殺菌剤など農薬の問題が心配です。古い時代、世界中を航海した人々は、コロンブスも積み荷にはレモンや香辛料を必ず持ち込んでいたそうです。生鮮野菜は不足したでしょうし、冷蔵庫もなく魚や肉類の調理には殺菌作用のあるレモンのクエン酸が欠かせなかったのでしょう。ビタミンCの補給にもレモンはどれほど貴重だったことでしょう。
 レモンは常緑果樹で樹勢は強く生長も早いのですが、寒さに弱く、雨の多いところでは病害も受けるため、東北では温室に植栽されている樹でなければ、レモンの花にはなかなかお目にかかれません。鮮やかな黄色の果実からは想像できないような紫色の蕾から真っ白な5弁の花が咲きます。レモンの香りのような上品な花です。


来歴

 インド北東部、ヒマラヤの東部山麓が原産地といわれ、ライムが起源に関連すると考えられています。中国へは宋の時代に伝わりましたが、あまり栽培はされず、アラブ人により北アフリカを経て12世紀にはスペイン、イタリア、シチリア島へ広まり、生産が行われ、アメリカ大陸へは1493年に伝わりカリフォルニア、アリゾナで栽培が始まりました。日本へは1873年に米国から渡来し、第二次大戦前は瀬戸内海の島々を中心に生産されましたが、戦後は貿易の自由化によりカリフォルニア産が大量に輸入されています。使用されている殺虫・殺菌剤等の残留農薬による発癌性が問題になりました。よく水洗いして使いましょう。是非、国産の安全なレモンを増やしていただきたいものです。
 レモンの主産国は、ギリシャ、イタリア、スペイン、イスラエル、トルコなど地中海沿岸諸国、カリフォルニア等の米国、ブラジルなど。我が国では少ない生産量ながら和歌山、高知、宮崎、鹿児島、瀬戸内海の香川、広島、愛媛が主産地です。
 レモンの品種は地名に由来した名称もあり、リスボン(主力品種、枝にとげが多い)はポルトガル産、ユーレカ(主力品種の一つ)は米国、ビラフランカ(とげのないものがある)はヨーロッパ、日本でも栽培され、ジェノバはチリ・アルゼンチン、マイヤーレモン(オレンジとレモンの自然交雑種)、サイパンレモン(菊地レモン、島レモン、やや大きく丸みを帯びる)、ポンテローザ(ジャンボサイズ)、チャイナリトルレモン(シークワーサーに類似)などが知られています。


成分特性と利用法

 主成分は有機酸で特にクエン酸が非常に多く、リンゴ酸を含みます。果汁のpHは2.1〜2.5。糖質は少なく、果汁率は30〜40%。ビタミンC(アスコルビン酸)は可食部100g当たりの果汁中50mg、全果実・生には100mg含みます。葉酸が果汁中19μg含まれています。果汁中の遊離アミノ酸は主にアスパラギン、アスパラギン酸、セリン、プロリンです。果皮には3%の精油を含み、レモン油の香気成分はリモネン(モノテルペン炭化水素)、シトラール(トランス形のネラールとシス形のゲラニアールの混合物)です。
 果汁を絞ってレモネード、レモンスカッシュに、肉や魚料理に添えて臭みを消し、爽やかな風味を味わうことができます。ジュース、清涼飲料水やマヨネーズに、レモンパイやマドレーヌなどケーキや菓子に果汁と果皮をすりおろして加えます。酸味が強く、芳香があり卓上で料理に添えたり、カクテルに果汁を絞り、果皮精油の香気を利用するなど香りを生かした用途は広く、クエン酸は疲れを取り去ってくれます。ご家庭ではどのようなレモンの楽しみ方がありますか?

英名: lemon
仏名: citron
中国名: 檸檬


参照:
「世界有用植物事典」「原色牧野和漢薬草大図鑑」「化学大辞典」「日本食品大事典」
「食品成分表」「医薬ジャーナル」「(株)メディセオ:HP」


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