コンニャク

こんにゃくの花
名称 コンニャク
属科 さといも科
学名 Amorphophallus konjac K.
生薬名 蒟蒻・魔芋(中国)
食性 辛(甘、苦)・温

「コンニャクは健康食品としても最適な、日本の伝統食品」

 みなさん、コンニャクの花をご覧下さい!コンニャクの花は数年を経て生長した古い株の球茎から、初夏に暗紫色の仏炎苞(長さ30cm以上になる)に包まれた内穂花序の形に咲き出します。苞内の基部に雌花、上部に雄花が密集して付き、花期には葉がないため少々異様な風情です。
 普段、野菜の花にはなかなかお目にかかれません。特にコンニャクは5年くらい経たないと咲かない植物なのですが、名取市にある宮城県薬用植物園に植栽されているおかげで、このように珍しい花が観賞できます。山林に自生しているザゼンソウ、ミズバショウ、マムシグサやテンナンショウと同じ仲間であるのが納得できますね。球茎(蒟蒻芋)が発育すると多数のマンナン細胞に炭水化物の多糖類であるマンナンが蓄積します。収穫まで2〜3年要し、掘り起こして薄切りにして乾燥します。主産地は群馬県を中心に北関東、東北南部です。


来歴

 インド、東南アジアの原産といわれ球茎を食用や薬用にするために栽培される多年生草本です。日本への渡来の時代や経路については不明ですが、「和名抄」巻十七の園菜類に記載があり、中国を経て仏教伝来、遣唐使により渡来した植物と思われます。「拾遺和歌集」(平安時代)に詠われ、鎌倉時代には天皇の食膳に貢納され、味噌煮であった様子です。室町時代には“点心”に利用され、精進料理に魚肉代わりの刺身として珍重され、戦国時代には豆腐、納豆とともに食されました。庶民の食料になったのは江戸時代に入ってからで、現在1万ha、年産7万〜8万トンの経済栽培が行われているのは日本だけとのことです。
 1846年に「蒟蒻百珍」というコンニャク専門の料理書が刊行されました。豆腐、蒟蒻を材料とする味噌田楽は「あんばいよ〜し」と呼びながら行商されました。薄く切ったものを凍結乾燥してもどした煮ものは、寒天のような舌触りで、室町後期から江戸時代にかけて愛好された模様で、今でもお節料理の黒豆に添えられています。京都のお寺に泊めていただくと蒟蒻料理が出されますし、山形には玉こんにゃくや蒟蒻料理店が何軒か見つかります。
 東北大学大学院薬学研究科附属薬用植物園が主宰する日本薬用植物友の会や宮城県薬用植物園では、栽培したコンニャクを使った薬膳研修会を行っています。


加工法

 球茎を輪切りにして乾燥粉砕したマンナン粒子を精粉(セイコ)といい(生芋を用いてもよい)、この粉に水を加えてコロイド状に膨潤させ、糊化したものに生石灰(現在はアルカリ剤として水酸化カルシウムを用いる)を加えて、凝固させたたものが食用こんにゃくです。
 しらたき、玉こんにゃく、板こんにゃくは水の量が加減され、しらたきは、アルカリ化後、熱湯の中に絞り出して固めます。こんにゃくゼリーなどお菓子としても喜ばれ、食品に加工される他、昔は謄写版印刷の一種にこんにゃく版があり、糊の原料にもなりました。
 外国の方は、どんな食感を持たれるでしょうか?伺ってみたいですね。


成分特性

 コンニャク芋の97%は水分で、2%ほどの多糖体の一種・コンニャクマンナン(グルコマンナン)と呼ばれるマンナン粒子、アデニン等が含まれ栄養価は低いのですが、コンニャクは体内で消化吸収されないため、古来、腹中の砂を除く砂払いと名付けられました。低カロリー食として注目しお腹のほうき、掃除屋として価値があります。民間療法に利尿作用が認められるので、のどの渇きや乏尿、消炎に市販のコンニャクを食べるとよいそうです。
 食感は弾性があり、歯切れのよさが特徴で、味はなく、油や肉の味に良く合うことから炒り煮や白ら和え、鍋ものにと毎日の食卓に上ります。おでん、すき焼きには欠かせません。すき焼きは、肉としらたきが隣同士で接触しているとカルシウムイオンが肉を硬くするといわれます。
 12月8日の針供養、年末の大掃除のように年や季節の変わり目に多く食べられ、体内や精神のけがれを払って心身を清らかに保つ風習がありました。健康食品としても最適な、日本の伝統食品を育ててくれた先人の知恵を大事にして楽しい食事に利用しましょう。



参照:
「原色牧野和漢薬草大図鑑」「世界有用植物事典」
「新編日本食品事典」「牧野新日本植物図鑑」
「食品成分表」「中葯大辞典」


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