ハクサイ

ハクサイ
名称 ハクサイ(玉菜の花)
属科 アブラナ属 あぶらな科
学名 Brassica campestris var. amplexicaulis
英名 Chinese Cabbage
中国名 大白菜、結球白菜
食性 甘・平

「利用価値の高い素直な日常野菜」

 まな板のうえで大きな白菜をザクザクと切りそろえていると、覗きに来た夫が、「おーい、すき焼きだよ〜ご飯だからあつまれ〜」と、子供達を呼びよせる、冬の夕餉の時間がありました。鍋物というと、いつの間にか、夫は、かいがいしく野菜や肉、魚介類を鍋に入れ足す係りが習慣になりましたが、どちらのご家庭も同じでしょうか。白い菜の代表はハクサイで、鍋もの、漬けもの、煮もの、汁の実、中華風に炒めてあんかけなど、どんな味付けにも馴染む、素直な野菜です。思いの外、甘味がありベーコンと相性がよく、スープにします。豚、鶏、カキや鮭を使ったバターやクリーム味のシチューは、体も心も温まり、美味しくいただけます。白い肉厚の中肋の部分は4cmほどの縦細切りにして生でサラダの材料にします。
 日本の漬け物の白菜漬けと並んで韓国のキムチも、日本各地で生産されるようになりましたね。


来歴と生産

 ハクサイの起源は中国北部の原産といわれ、野生型は発見されませんが、アブラナ科の植物は交配しやすいため、カブ類とタイサイ類との交雑により生まれたという中国の研究者の説が有力となっています。中国東北部から朝鮮半島にかけての冷涼な気候の地域が栽培適地でした。ハクサイ類には不結球、半結球、結球の3種類があり、不結球と半結球のものはサントウサイ(山東菜)と呼び、結球するものをハクサイ(白菜)と呼ばれます。
 結球性の品種については11世紀初めの中国の文献に記述が見られることから、古くから結球技術がすすめられていた模様です。結球ハクサイが 日本に導入されたのは比較的新しく1875年であったと記録されています。
 日清・日露戦争に従軍した兵士達が大陸でハクサイに出会い、種子を持ち帰り、試験栽培が行われたものの、交雑やチョウの好物のため、種子の採取が成功せず、毎年、種子は輸入されていたようです。明治末期に愛知県の野崎育種場で愛知系と呼ばれるハクサイの採種が始まり、1918年には沼倉吉兵衛により、チョウや交雑から隔離された宮城県松島湾内の馬放島で小規模な採種に成功したことや、石川県では金沢系育種が成功したことにより、結球種の経済性栽培が広められ、日本の代表的な野菜となる採種技術が確立しました。最近では一代雑種が多く利用され、高品質、耐病性(軟腐病やウイルス病、根こぶ病に強い性質を取り入れた品種150種余り)、多収穫に優れた品種のハクサイが育成されています。 円筒形、砲弾形、アメリカで栽培されているたけのこ形、小形(ミニ)、中国南部・台湾で普及しているヘアレス(葉に毛がなく多汁でサラダ向き)の形状があります。主産地は茨城、長野、福島、群馬、北海道で作付け面積、収量とも極めて多い野菜です。春の日長に茎が伸び出し、花芽が尽きます。キャベツの十字花は淡いクリーム色ですが、ハクサイは鮮やかな黄色の十字花が開花します。


成分特性

 ハクサイは、栄養価はあまり高くはありませんが、食品成分表には可食部100g当たり、カリウム220mg、カルシウム43mg、カロテン99μg、ビタミンC19mg、食物繊維1.3g等が記載されています。生育途中に白い中肋は幅広く肉厚になり、この部分にゴマ症と呼ばれる黒いゴマ状の斑点が発生することがありますが、この現象はハクサイの生理障害です。窒素肥料の過剰や高温・低温、その他の栽培環境によってポリフェノール類が蓄積した状態で衛生上の問題はありません。



参考資料:
「世界有用植物事典」「五訂日本食品標準成分表」
「日本食品大事典」「農林水産省消費生活課HP」

アブラナ属は、1年草、2年草、多年草など40種ほどあり、北半球に分布しています。黄色の十字花をつけ、種子には油を含みます。食用野菜、飼料作物、良質の油料作物として重要で、観賞用にも利用されます。
アブラナ属の主な野菜には、サントウサイ(山東菜)、ハクサイ(白菜)、タイサイ(体菜)、カブ(蕪)、ノザワナ(野沢菜)、スグキナ(酢茎菜)、アブラナ(ナタネ・菜種)、コマツナ(小松菜)、ザーサイ、セイヨウカラシナ(芥菜)、コールラビ(カブカンラン・球茎甘藍)、タカナ(高菜)、キョウナ《京菜・ミズナ(水菜)》、チリメンカラシ(皺葉芥菜)、ミブナ(壬生菜・キョウナ)、ケール(ハゴロモカンラン・緑葉甘藍)、ハボタン(葉牡丹:観賞用)、ブロッコリー、キャベツ(甘藍・タマナ)、メキャベツ(ヒメカンラン、コモチカンラン)等々、アブラナ属は世界中で利用価値の高い日常野菜です。



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