ゴボウ

ゴボウの花  
名称 ゴボウ
属科 きく科
学名 Arctium lappa L.
生薬名 牛蒡(根)、牛蒡子・悪実(種子)、牛蒡葉(葉)
食性 苦・寒(根)
 

「ゴボウは日本人の大好物!お袋の味に通じた、日本料理になくてはならない野菜!!」

 ゴボウは、きく科の野菜で、7〜8月に茎が人の背丈ほどに伸びて、アザミのような紫紅・白色などの管状花が球形の頭花となって咲きます。一つの頭花をよく見ると針状の剛毛に覆われていて、剛毛の先端はカギ状で、野原や川辺のオナモミのように他のものにくっつき、他の場所に運ばれて、繁殖を手伝ってもらうことができます。花を咲かせてしまうと地上部に養分がとられてしまい、根は成長しません。畑では花の咲く前に収穫しますので、花を見ることはまれです。
 ゴボウと聞くと、きんぴら、すき焼き、柳川鍋、牛肉の牛蒡巻きなど和食のメニューを次々に思い出しますが、ゴボウを栽培しているのは日本と台湾だけといわれます。日本人はゴボウ独特の香りと歯触りが大好物で、懐かしいお袋の味に通じ、日本料理にはなくてはならない野菜ではないでしょうか。


来歴

 ヨーロッパ、ヒマラヤ、ロシア、中国に野生種が分布し、日本には薬草として中国から渡来しました。改良されて日本独特の食用作物となった1〜2年草本です。平安朝末期の宮廷の献立に牛蒡が記載されていたそうです。数種類ある中には、短根種30cm(大浦・堀川)は太く、みじかく、空洞があり精進料理や京都のお節料理には欠かせない野菜です。長根種150cm(滝野川、常磐)は、年間生産量の5割を占め、茨城、千葉等、関東5県で生産されています。関東ローム層の黒ぼく土が長く伸びた根を育てます。関西八尾地方には特産の若い葉ごぼうがあり、フキの葉に似て豊かな香りとほろ苦さは、春野菜として親しまれています。


成分特性と利用法

 80%は水分で、炭水化物のイヌリン、セルロース、ヘミセルロース等の食物繊維、ミネラル類、ビタミンB1, B2, Cの他、アルクチン酸(アークチン酸)、酢酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、アルギニン、アスパラギン、タンニン、コリン、アデニン等を含みます。葉にはタンニン、精油、粘液。種子には脂肪油のパルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸のグリセリド、アルクチイン(リグナン系苦味配糖体)を含みます。根や葉は、消炎、収斂作用、駆風作用があり、種子には利尿作用、抗皮膚真菌作用が知られ、民間では腫れ物やむくみ、のどの腫れや痛みに種子を炒って粉末にして利用し、浴湯料にも用います。じんましんや胃けいれんにゴボウの煮汁を飲む等、言い伝えられています。食物繊維は消化されにくく、整腸作用、大腸癌の予防(ニトロソアミン生成の抑制)、糖尿病など生活習慣病に大事な野菜です。
 ゴボウの香りはアルクチン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、アセトアルデヒド等種々の成分の混合とされます。ゴボウを切って放置するとアクが強く、黒変しますが、タンニン、フェノール、クロロゲン酸などの成分によります。ゴボウのポリフェノールオキシダーゼ活性はpH5で最も強く、pH4以下では著しく低下するため、酢水に浸けると酵素活性が低下し、空気にも触れないため変色を防ぐことができます。糠や米のとぎ汁もアク抜きができると、親から昔の知恵を伝授されました。大切にしたい教えの一つですね。表皮は一番風味があり、たわしでさっと洗って、皮をむかないように準備します。油と相性がよく、初夏の新牛蒡の柔らかな風味は精進揚げ、きんぴら、柳川鍋にいかがでしょうか。ゴボウは、魚や肉の臭みを消す効果があり、ゴボウが使われているかどうかで美味しさが違うことを、舌が肥えているグルメな人は気がつきます。お節料理に牛蒡の煮しめやたたき牛蒡を作るのは、細く長く慎ましくを願い、根を開いて食べるのは開運を意味しているといわれます。最近ではサラダなど洋風料理にも人気が出て、広く調理されるようになりました。

一家そろって、新年を寿ぎ、無病息災を願いつつ・・・。



参照:
「台所漢方あれこれ」「世界有用植物事典」「中葯大辞典」
「原色牧野和漢薬草大図鑑」「新編日本食品事典」
「化学大辞典」「食品成分表」


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