コーヒーノキ

珈琲の木
名称 コーヒーノキ
属科 コーヒーノキ属 あかね科
学名 Coffea arabica L.
C. canephora Pierr ex Froeh.
C. liberica Bull ex Hiern.

「コーヒーは1日の始まりに欠かせない飲み物」

 朝食のコーヒーで一日が始まり、仕事の合間にちょっと一休み!コーヒータイムにいたしましょう。
 世界で最も多くの国々で飲用されている嗜好飲料であり、文化的にも大きな役割を果たしてきました。日本では文明開化以来、徐々に広まり今日の食文化に不可欠の飲料となりました。熱帯植物であり仙台市内では、育てるのは無理と思いながら温室からいただいた果実から種子を取り出し、種子の端を少し割って植え、芽が出た時の感激を味わいました。夏場は外に出し、冬場は室内に入れる方法で、何とか過ごしています。それはコーヒーの花を観賞したい一心と、あわよくば育てたコーヒーの赤い実を味わってみたいという思いからです。
 写真の花は東北大学大学院薬学研究科の温室で大きく育っているコーヒーノキの一枝です。真っ白な花は可憐でジャスミンのような芳香がただよい、えき性で次々に咲いています。赤い果実は甘くリンゴのような味わいです。温室の中では6月頃咲き出し、果実が着きはじめると、また別の枝に咲き出すという具合に暖かな間、周年、花も実も付きます。この赤い実生から育てることができる楽しい樹木です。


来歴

 コーヒーノキの発祥の地は、熱帯アフリカ東部、主にエチオピア原産とされていますが、野生種は1960年までは知られていなかったようです。エチオピアの南西部の降雨林地帯に発見されましたが、本当の野生種なのか、栽培種から野生化したのかは、はっきりしないといいます。
 40種類ほど、アフリカ、東南アジアからマレーシアおよび中央アメリカ、ブラジルなどのコーヒーベルトと呼ばれている熱帯地方に分布していますが、コーヒーの原料としては特有の味と香りを持つ良質の種類が栽培されています。最初に飲用にした時代は11世紀、アラビアの人々は乾燥した生豆(種子)を砕いて煎じたものを胃薬として飲んでいたようです。13世紀には豆を炒って香りの良いものを好むようになり、16世紀アラビアから伝わったトルコのコンスタンチノーブルに世界初のコーヒーハウスが誕生しています。17世紀初めにはヨーロッパ各地に、17世紀後半には米国へと伝わりました。18世紀にはコーヒー液を濾過して、カスを取り除いて飲用することを見いだしました。日本へは江戸時代初期(17世紀初め)にオランダ人によって伝えられたのですが、その時代には普及せず、明治の文明開化の頃がコーヒー普及の始まりと言えましょう。
栽培種は、低木のアラビカ種(エチオピア高原原産、世界の生産量の約8割)、低木のロブスタ種(病害に強く、インドネシアで栽培、インスタントコーヒー向き)、高木のリベリカ種は病害に弱く、生産量は1%以下です。世界の生産量の約半分は南米のブラジル、コロンビアで生産され、西インド諸島のジャマイカでは良品の「ブルーマウンテン」、中米のグアテマラ、コスタリカ、エルサルバドル、北米のメキシコ、アフリカのウガンダ、ケニア、アフリカの最高級品である「キリマンジャロ」はタンザニアで生産されます。アラビアコーヒーで有名な「モカ」は紅海のイエメン地方で、アジアでは赤道付近の標高 1,500〜2,000mの高原で栽培され、インドネシアの「マンデリン」、インドの「マイソール」、ハワイ島の「コナ」等々、国々のご自慢の製品が約 200種類知られています。


成分特性と利用法

 コーヒーの成分の特徴はカフェイン、タンニンの一種のクロロゲン酸(ポリフェノール)が含まれ、ビタミンB2、カリウム、蛋白質、脂質、遊離アミノ酸、脂肪酸、クエン酸、リンゴ酸などで、香りの成分は500種も確認されているといわれます。コーヒーを濾過するフィルターを通すと、脂質の大部分は除かれます。生豆の焙煎によって、ギ酸、酢酸、乳酸が増え、コーヒーのデリケートな風味を左右します。何種類かの豆を混ぜて用いますが、風味を大切にしますので鮮度が重要です。必要量だけを買い求め密閉して冷蔵庫で保管し、飲むときに豆を挽いて使うのが理想的です。
 粉砕の程度を加減し、粗挽き、中間、細挽きにして楽しみます。コーヒー液を噴霧乾燥、又は凍結乾燥してインスタントコーヒーをつくります。カフェインを除いたカフェインフリーの製品も販売されています。
 カフェインは、中枢神経を刺激し脳の働きを活発にして集中力を高め、利尿作用もあり疲労感を軽くします。このほか、クロロゲン酸による抗酸化作用が取り上げられています。最近の厚生労働省研究班の大規模疫学研究では肝臓がん発生のリスクを減らすという報告や肝硬変の予防や糖尿病になりにくい等の外国のグループの発表もありますが、なぜコーヒーにこれらの予防効果があるのか、確かな作用機序は解明されていません。
 あくまで嗜好品であり薬剤のような効果は期待できません。コーヒーを5杯以上飲み過ぎると頭痛、不眠、動悸、めまいや血圧の上昇を訴える人もあり、疾患のある方、服薬中の方は飲み過ぎには注意が必要でしょう。妊娠している方はカフェインの代謝が遅延するといわれ、カフェインは胎盤通過性があり、胎児の発育に影響する可能性があります。胎児は薬物代謝酵素は未熟なため、カフェインが蓄積されやすいことが憂慮されます。カフェインは緑茶、抹茶、紅茶、ウーロン茶等にも含まれ、医薬品の風邪薬、ドリンク剤などにも配合されていますので、ぜんそくや気管支炎の患者さんで医薬品のテオフィリン製剤など服用している場合、カフェインの併用に注意が必要です。医師、薬剤師に正しい服用についてご相談下さい。



参照:
「世界有用植物事典」「食品成分表」
「原色牧野和漢薬草大図鑑」「医薬品添付文書」
「日本食品大事典」「北海道薬剤師会雑誌」


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