バナナ

バナナ(実芭蕉)
名称 バナナ(実芭蕉)
属科 ばしょう科
学名 Musa Paradisiaca L.
中国名 香蕉
食性 甘・寒・微渋

老若男女に世界中で愛されるフルーツの王様

 一年中バナナはお店に並んでいて、いつが旬なのでしょう。輸入果物の中ではバナナが最も日本人に好まれ、周年、大量に供給されています。フィリピン産約75%、エクアドル産約20%、台湾産約5%が輸入される熱帯、亜熱帯地域の作物です。日本では沖縄、奄美大島で島バナナが小規模栽培されているだけですが、世界的にはアフリカ50%、アジア20%、南北アメリカで30%生産されています。
 バナナはスポーツ選手も乳幼児も、高齢の方々も喜んでおやつにします。糖質やカリウムなどのミネラル、ビタミン、食物繊維が豊富に含まれ、運動や登山、仕事の合間にエネルギー補給に最適です。
 バナナは熱帯性害虫のミバエ類が寄生するため、熟した果実の輸入は植物検疫法で禁止されていますので、青い未熟な果実が12〜14℃に保たれた輸送船の保温庫に保管されて輸入されています。成熟させるためには、エチレンガスによる追熟が30時間14〜18℃の追熟室で行われて初めて食用になり、出荷されます。輸入される前には殺虫剤の使用が義務づけられていて、青酸ガスや臭化メチルで燻蒸されますが、まれにバナナの両端から農薬が検出することがあるとのこと、両端は切り取って食べた方がよいと思われます。バナナを購入したら冷蔵庫では凍傷がおこるため、常温で保存し、冷やすときは食前に30分ほど冷蔵庫に入れて下さい。


来歴

 バナナについては、紀元前5世紀に世界最初の記述がインドにあったといわれ、人類最古の栽培作物の一つとして食用にされたことがわかります。インド、マレー半島付近が原産地で、アフリカへ5世紀頃、ポリネシアへ10世紀、南北アメリカに15〜16世紀に伝わった高温多湿を好む大型多年生草本です。栽培技術がすすんで、種子のある野生種から三倍体化した種子なしの栽培品種が生まれ、果物用バナナとして最も広く栽培され、100種以上の品種があります。東北大学薬学部温室でみごとに育っている写真の三尺バナナは三倍体種に属します。赤バナナ台湾(北蕉)も三倍体です。他に交雑種群にモンキーバナナがあり、店先で見つけて産地の様子が彷彿とする名前は小さいのに存在感がありますね。
 温室内でもバナナの総草丈は2〜10mに達し、偽茎は長く、広い葉鞘が重なり合って、先端に10枚ほどの巨大な葉が集まって繁ります。夏から秋にかけて葉心から1〜2mの花茎が穂状に垂れ下がり、赤紫色の包葉内に淡黄色の花が15個ほど2列に並び、穂の下方は雌花、上部は雄花。初めて見る時は異様な雰囲気の花です。日本ではほとんど生食用にされますが、世界の全生産量の半分は生食用、残り半分は料理用にされるようです。茎・葉は織物の繊維になります。


成分特性と利用法

 特有の香りは酢酸イソアミル、酢酸アミル、酪酸アミル、プロピオン酸アミルなどのエステルからなります。炭水化物はでんぷん、ショ糖、ブドウ糖、果糖。でんぷんは未熟果では20〜25g、糖分が1〜2gですが、完熟すると糖化し、でんぷんは1〜2gに減少して糖分は15〜20gまで増加します。エネルギーは果物の中で最も高く、消化吸収がよいため、幼児から老人、病人食にも利用価値のある食品です。可食部100g中、食物繊維は1.1gでセルロース、ヘミセルロース、ポリフェノールも豊富に含まれ、果肉の酸度はpH4.5、リンゴ酸50%、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、シキミ酸、キナ酸、必須アミノ酸、カリウム、マグネシウム、カロテン、ビタミン、酵素等がバランスよく、まろやかな味わいです。生活習慣病、高血圧気味、風邪、口内炎、便秘などにもありがたい食材です。果肉の渋みはタンニン。エチレンガスによる追熟を行うと、タンニンは縮合して不溶化し渋みがなくなり、果肉はクロロフィルが分解し、黄色に柔らかくなり、でんぷんは糖化して甘味が増し、芳香が現われます。果肉の褐変色素はドーパミン。レモン汁を振りかけると酵素の働きで変色を防ぎます。根茎(シュウ酸ナトリウム)、樹液(コハク酸、糖、酵素、タンニン酢酸塩)、葉、花等、産地では民間薬として使用する様子です。
 バナナは接触性皮膚炎を起こす食物の一つでもあり、接触じんましん、ラテックスと交叉反応を起こします。口腔アレルギー症候群(OAS)の原因になる等々報告があるのも特徴でしょう。
アレルギー体質の方は気をつけて下さい。
 乾燥品、チップ、ピューレに加工され、菓子の材料、ベビーフードに、発酵させて果実酒、ウイスキー等にも利用され、サラダ、クリーム和え、フライ、フリッター、パウンドケーキも風味がよく、手作りケーキが喜ばれます。黒い斑点のある熟したバナナや青いバナナも調理してみましょう。



参照:
「世界有用植物事典」「食品成分表」「日本食品大事典」「中葯大辞典」
「原色牧野和漢薬草大図鑑」「食効」「医薬ジャーナル2000.8. 11」
「毎日ライフ1999.12」


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